革を熟知した職人の技術

グレートスピリッツでは厳選した上質な皮革を使っていますが、職人として素材にこだわるのは当然だと思います。
その素材を適材適所に使用して、より良いモノを生み出す技術と経験があってこそ職人の仕事と言えます。

上質な素材から部位の特性を見極めて、より丈夫に長くお使いいただける製品を作るため、裁断にこだわり、伸びてはいけないパーツは伸びづらく、柔かくなってはいけない所は硬さが持続するよう仕立てにこだわっています。

グレートスピリッツの製品には、いくつもの職人の技術と経験が詰まっています。

磨き上げる(磨き・コバ磨き)

磨き写真

革のコバ(革の切り口、断面)や床面(革の裏面)の毛羽立ちを押さえ、美しく仕上げるためにフノリやロウを塗って、ガラス板やスリッカーという木製の道具で磨く技術です。
押し付ける力加減と、摩擦による乾き具合で一番ツヤの出ているタイミングを見極めるのは経験を必要とする技です。
圧が足りなければすぐに毛羽立ってきますし、ツヤも今ひとつになります。
かと言って、やり過ぎるとピークを通り越して革を荒らしてしまうことになります。
職人に弟子入りして1年間は、ひたすらこれだけをさせられ、包丁すら握れなかったという話をよく耳にします。
それだけ仕上がりを左右する重要な技術だと考えています。

貼り合わせる(裏革貼り)

革は使うほどに味わいが増し、柔らかくなりますが、それは繊維がほぐれて弱くなってきているとも言えます。
それを補うための方法として、厚い革を使って強度を出すというのが単純な方法ですが、それでは道具としての使いやすさ、ファッションとしての美が損なわれてしまいます。

グレートスピリッツでは、1枚革ですぐ弱くなってしまう部分には、見た目の厚さは1枚革と同じになるように、繊維の流れが違う革を2枚貼り合わせて強度を出しています。

革の接着にはゴム系のボンドか白ボンド(木工用ボンドを濃くしたような物)を使用しますが、仕上がりがキレイになるように出来るだけ薄く塗っています。
接着したパーツのフチでステッチの入らない部分には、念ゴテという道具で圧力をかけて強力に接着します。
ルイ・ヴィトンなどのブランド物にもよく見られる技術です。

縫い合わせる(ミシン縫い・手縫い)

ミシン縫い

ミシン縫いは図のように上糸と下糸に分かれており、機械で上糸が下糸を「すくって」います。
上糸は常に表に、下糸は常に裏に来るようになっています。
このため、縫い目が一ヶ所切れると連鎖してほどけることがあります。
作業効率の点において、手縫いよりミシン縫いの方が遥かに優れており、縫い目が常に均一で、同じ仕上がりに出来るのが特徴です。
ミシンで縫える革の厚さ、形は限られているので、ミシンで縫える造りを考えて型を起こすのも、職人の力量が問われるところです。

手縫い

手縫いは図のように上糸、下糸がなく、糸の両端に付けた2本の針で、あらかじめ穴開けで開けた縫い穴を8字を書くように縫っていきます。
このため、縫い目が一ヶ所切れても連鎖してほどけることがないのが特徴です。
また手縫いを用いれば、どんな複雑な物でも縫うことが出来ます。
手縫いならではの味わいのある縫い目も人気です。

手縫いに使用する糸は、一般的に蜜蝋を主成分とするワックスをすり込んだ麻糸を使用します。
ワックスは麻の毛羽立ちを抑え、摩擦で糸がすり切れるのを防ぎ、締め上げた目が緩むのを防いでいます。
現代は麻糸よりも切れにくい様々な糸が発達しており、グレートスピリッツではナイロン系の摩擦に強い白糸、もしくは味わいのあるシニュー糸をロウ引きして使用しています。

装飾を施す(スタンピング・カービング・エキゾチック革)

スタンピング

スタンピングとは、革を湿らせてから革の表面を叩きつぶして刻印の模様を定着させる技術です。
レザーカービングとよく間違われますが、バスケット柄やアルファベットの刻印で名前を入れるのはスタンピングに分類されます。

カービング

革は湿らせると軟らかくなり細工がしやすくなります。
レザーカービングはその性質を利用し、革を湿らせてスーベルカッターでカットを入れ、刻印の角度を変えたり、力の強弱を付けて革の表面を叩くことで、革に立体感のある美しい模様を定着させる技術です。
古典的な唐草模様カリフォルニアスタイルや最近人気のシェリダンスタイルなどがあります。

エキゾチック革

エキゾチック革とは主に装飾を目的とした皮革を指します。
代表的なものとして爬虫類、パイソン(ヘビ)、クロコダイル・カイマン(ワニ)、リザード(トカゲ)、スティングレイ(エイ)、シャークスキン(サメ)、オーストレッグ(ダチョウの脚部の革)があげられます。
使用する際は写真(右)のようなインレイという手法(埋め込み)がよく用いられます。
エキゾチック革は丈夫な素材とは言えないので、グレートスピリッツでは芯材やヌメ革など、他の丈夫な素材と組み合わせて補強して使用しています。

強度を出す(芯材)

芯材には様々な種類があり、どれを使うかは作り手の判断しかありません。
同じ厚さ・硬さ・張りがあっても、ただのボール紙と和紙のように繊維の入り組んだ丈夫な物とでは、長く使った時に物持ちが違ってきます。
普段ブランド物や既製品の修理をすることがあり、他社の製品がどの様な芯材を使っているか見る機会がありますが、ほとんどの製品がボール紙を使っていてボロボロに千切れています。
グレートスピリッツでは、硬さ、張りを出すのはもちろんですが、芯材の耐久性も考慮して使い分けています。

写真(中央)は財布の差し込み部分(ベロ)です。
この部分がクタクタになると差し込みにくくなるため、グレートスピリッツでは2種類の芯材を入れています。
写真(右)は8年使用した財布ですが、革が柔らかくなっても張りが保たれています。
常に出来上がりが同じ硬さ・張り・耐久性になるように、同じ部分でも使う革によって、さらに固い芯材を使用したり、逆に柔らかい芯材を入れる場合もあります。

品質へのこだわり

触ると違いがわかる 厳選したこだわりの素材を生かす

グレートスピリッツではこだわりの皮革の中から、お客様のオーダーに最適な素材を職人がお選びいたします。
革は生き物です。同じ製品としてタンナーから出される革でも、1枚1枚個体差があります。
工房では実際に革に触れることができます。
ぜひ一度、足を運んでみてください。

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想いを受け継ぐ 充実のアフターケア

思い出の詰まった愛着のある製品を使い続けていただけるよう、アフターケアもしっかり行います。
どんなに丈夫に作られていても、どんなに大切にしていても、道具は使っていればいつか壊れてしまいます。
グレートスピリッツではお客様の愛情を受け継ぎ、壊れてしまった大切な製品を再びよみがえらせます。

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